診療案内
Medical information発熱外来と感染症
当院の発熱外来と感染症の特徴
当院では、24時間以内に38℃以上の熱を認めた方や、特定の感染症の方と接触があった方を対象に、年齢を問わず診療を行います。
大切なお子様やご家族が安心して受診できるよう、感染負担軽減には特に力を入れています。
発熱のある方とそうでない方の待合いスペースを完全に分離し、院内での感染リスクを最小限に抑える体制を整えております。患者様一人ひとりに寄り添った丁寧な診察、ひとり一人に合わせた適切な検査・治療を提供することをお約束します。必要に応じて、より高度な医療を提供できる機関へのご紹介にも迅速に行います。

「発熱外来」の対象となる方
当院では以下に当てはまる方に発熱外来のご利用をお願いしております。
- 24時間以内に38.5℃以上の熱を認めた方。・水疱のある発疹がある方。
- 48時間以内に、水痘、新型コロナ、麻疹、結核に罹患した方と明らかな接触をした方。
あらかじめ、それらが分かっている場合は、「発熱外来」のご予約をお願いします。
当院の感染症についての考え方
当院では次の考えをもって診療にあたっています。
- 重症な患者様を見逃さない
①トリアージ ②診療は対面で行う。 - 感染対策を3つの側面から考える。
①「時間的かくり」と時間短縮。 ②「空間的かくり」と感染対策設備。 ③スタッフ・チームの「標準予防策」意識と修練。 - 都市機能としての感染症対応
順にご説明させていただきます。
1. 重症な患者を見逃さない。
まず重症な患者様を見逃さないことがクリニックで一番大切なことだと考えています。当院では以下の2つの視点から重症な患者を見逃さないように務めています。
①トリアージ
当院ではスタッフによって患者様の重症度をある程度評価し、重症の疑いのある患者様を優先的に診察させていただいています。これは「トリアージ」という救急医療の考え方で、優先順位付けのことであり、限られたマンパワーで最大限多くの方に医療を提供し、良い結果を得ていただくための工夫です。そのため、予約の順番が前後することがありますが、何卒ご了承いただければと思います。
②診療は対面で行う。
また当院では感染症の診察は、対面診療のみとさせていただきます。これは今後の技術革新で変わる可能性もありますが、まだ対面とオンラインでは得られる情報量に大きな差があり、重症度のような質的な判断は見誤るリスクが大きいと考えるためです。ご不便お掛けしますが、何卒ご理解の程よろしくお願い申し上げます。
2. 感染対策を3つの側面から考える。
感染力の強い感染症を見つけることは⒈の次に大切なことだと考えます。当院では感染対策を3つの側面から考えています。
①「時間的かくり」と時間短縮。
そもそも患者様同士がなるべく接触しないことが感染対策として重要で、そのための1つめが、時間を分ける事です。
当院では「時間予約制」で発熱外来を行っています。
また、あらかじめ「Web問診票」をお願いしたり、「受付や会計を機械化」したりと時短に努めています。今後も時短に繫がるツールは積極的に導入したいと考えています。
②「空間的かくり」と感染対策設備。
なるべく接触しない対策の2つめが、空間を分ける事です。
当院では隔離室が2つあり、想定外の発熱患者様にも、ある程度対応出来るように設計されています。
また空気感染を想定し、他の部屋とは「独立した排気管」で、かくり室・かくり待合の空気を他と混ざることなく建物の外に出し続けることで、院内感染のリスクを減らしています。
③スタッフ・チームの「標準予防策」意識と修練。
3つめの感染対策が人のチカラです。
まず「標準予防策」と言う考え方です。感染症というのは病名が分からないうちから近づいて診察しなければならないので、診断を付けてから感染対策を考える、という訳にいきません。なので最初は感染力の強い感染症だと想定して診療に当たる必要があり、この一律のしっかりした感染対応策を「標準予防策」と呼びます。
また感染症対策には、その習熟度を上げることも大切です。スタッフ同士の連携や道具の使い方など、発熱外来の経験が増えればそれだけ習熟度が上がるので、そのために発熱外来の数をある程度多くしておくことは、チーム全体の習熟度を担保する意味で重要だとと考えます。
3. 都市機能としての感染症対応
最後に、都市機能としての感染症対応の在り方についての当院の考え方と、患者様へのお願いを1つさせていただきたいと思います。都市機能としての感染症対応として、私は「感染を拡大させない」事が大切だと思います。それは院内感染対策も勿論ですが、院外についてもある程度責任があると思っています。そのために、皆様に1つお願いしたいことがあります。
それは、なるべく同じグループの同じような症状の方々は、ご一緒にお越しいただきたい、と言うことです。同じグループでおそらく同じ感染症だと思われる方々は、バラバラに動けばその分感染症が広がりますが、一緒に動けば周囲への感染拡大のリスクを少し減らすことが出来ます。当院が感染症に関して、年齢を問わず診察させていただくのは、ご家族の皆様が一緒に来ていただきやすくするため、という側面があります。ご一緒に来ていただければその分患者様側のお手間も減り、こちらとしても診察効率が上がり、また細かい違いに目が行きやすくなるため診療の質が上がると考えてています。
もちろん感染症が相手なのでなかなか同じタイミングにならないことがあるのは承知しておりますが、選べるような状況であれば、皆様ご一緒にお越しいただくことをご一考いただければ幸いです。
「学校において予防すべき感染症(学校感染症)」について
この病気は、いつから学校/保育園/幼稚園に行って良いのかな?と、困ることも多いと思います。
1つの基準がいわゆる「学校感染症」の出席停止の基準です。「学校感染症」とは、学校における感染拡大を防ぐ事を目的として、児童・生徒の出席を停止させる必要がある感染症を指します(学校保健安全法および学校保健安全法施行規則)。疾患の性質により第1〜第3種に分けられています。
(感染症法による分類(1〜5類など)もありますが、それは国や社会全体の感染対策のための別の分類であり、混乱を避けるために割愛します。)
- 第1種:法定伝染病。・・・重症度も感染力も高いもの。 出席停止は基本的に治癒するまで。
- 対象:エボラ出血熱、ペスト、ジフテリア、ポリオ、など。
- 第2種:一般的な小児感染症で出席停止が必要なもの。 出席停止は個々に基準が定められている。
- 対象:インフルエンザ、百日咳、麻疹、おたふくかぜ、水痘、咽頭結膜熱、新型コロナ感染症、結核、髄膜炎菌性髄膜炎。
- 第3種:学校医が条件により出席停止を判断するもの。 出席停止は学校医の判断で感染の恐れがないと認められるまで。
- 対象:コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症(O-157など)、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎、など。
また、条件によっては出血停止の措置が考えられる、第3種に準じる感染症として、
溶連菌感染症、A型肝炎、B型肝炎、手足口病、伝染性紅斑、ヘルパンギーナ、マイコプラズマ感染症、感染性胃腸炎などがあります。
- 対象:コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症(O-157など)、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎、など。
比較的明確な基準があるのが第2種で、第3種は医師の判断とされることが多いのですが、その目安を下に示しますので、ご参考下さい。なお川崎市は川崎市医師会と連携し、学校感染症と第2種と第3種の一部について、以下の統一した基準を示しています。出席には「登校許可証明書」が必要になり、発行には500円(税別)の文書料をいただいておりますので、畏れ入りますが、ご理解頂ければと思います。
| 分類 | 病 名 | 登園(校)停止期間 |
|---|---|---|
| 第2種 | インフルエンザ(様疾患) | (学校)発症後5日を経過し、かつ、解熱後2日を経過するまで。 (幼稚園・保育園)発症後5日を経過し、かつ、解熱後3日を経過するまで。 |
| 第2種 | 新型コロナウイルス感染症 | 発症後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで。 |
| 第2種 | 百日せき | 特有の「せき」が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬による治療が終了するまで。 |
| 第2種 | 麻しん | 解熱後3日、せき・発疹が軽快するまで。 |
| 第2種 | 風しん | 発疹が消退するまで。 |
| 第2種 | 水痘・帯状疱疹(水ぼうそう) | 全発しんが痂皮化(かさぶたになる)するまで。 |
| 第2種 | 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) | 耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹の発現後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで。 |
| 第2種 | 咽頭結膜熱(プール熱) | 発熱、咽頭炎および結膜の発赤消失後2日を経過するまで。 |
| 第3種 | 流行性角結膜炎 | 目の充血、異物感が消失するまで。 |
| 第3種 | 急性出血性結膜炎 | 目の充血、異物感が消失するまで。 |
| 第3種 | 溶連菌感染症 | 主要症状が消失するまで、または抗菌薬治療を開始して24時間を経過するまで。 |
そのほか、上記の表にない3類感染症のおよその出席停止の目安と注意点を示します。
| 分類 | 病 名 | 登園(校)停止期間 |
|---|---|---|
| 第3種 | コレラ | 治癒するまで出席停止が望ましい。なお、水質管理や手洗いの励行等の日頃の指導が重要。 |
| 第3種 | 細菌性赤痢 | 治癒するまで出席停止が望ましい。なお、水質管理や手洗いの励行等の日頃の指導が重要。 |
| 第3種 | 腸管出血性大腸菌感染症 | 有症状者の場合には、医師において感染のおそれがないと認められるまで出席停止とする。無症状病原体保有者の場合には、トイレでの排泄せつ習慣が確立している5歳以上の小児は出席停止の必要はない。5歳未満の小児では2回以上連続で便培養が陰性になれば登校(園)してよい。手洗い等の一般的な予防法の励行で二次感染は防止できる。 |
| 第3種 | 腸チフス、パラチフス | 治癒するまで出席停止が望ましい。トイレでの排泄せつ習慣が確立している5歳以上の小児は出席停止の必要はない。5歳未満の小児では3回以上連続で便培養が陰性になれば登園してよい。 |
| 第3種 | 感染性胃腸炎(ノロウィルス、ロタウィルス、アデノウィルスなど) | 症状のある間が主なウイルスの排出期間であるが、回復後も数週にわたって便からウイルスが排出されることがある。下痢、嘔おう吐症状が軽減した後、全身状態の良い者は登校(園)可能だが、回復者であっても、排便後の始末、手洗いの励行は重要である。 |
| 第3種 | サルモネラ菌感染症 | 下痢が軽減すれば登校(園)可能であるであるが、菌の排出は長く続くことがあるので、排便後の始末、手洗いの励行は重要である。 |
| 第3種 | マイコプラズマ感染症 | 症状が改善し、全身状態の良い者は登校(園)可能である。 |
| 第3種 | Hib(インフルエンザ桿菌)、肺炎球菌感染症 | 発熱、咳せき等の症状が安定し、全身状態の良い者は登校(園)可能である。 |
| 第3種 | 伝染性紅斑(りんご病) | 発しん期には感染力はないので、発しんのみで全身状態の良い者は登校(園)可能である。 |
| 第3種 | RSウィルス感染症 | 発熱、咳等の症状が安定し、全身状態の良い者は登校(園)可能だが、手洗いを励行する。 |
| 第3種 | EBウィルス感染症 | 解熱し、全身状態が回復した者は登校(園)可能である。 |
| 第3種 | 単純ヘルペスウィルス感染症 | 口唇ヘルペス・歯肉口内炎のみであれば、マスク等をして登校(園)可能。発熱や全身性の水疱ほうがある場合は欠席して治療が望ましい。 |
| 第3種 | 帯状疱疹 | 全ての発しんが痂か皮化するまでは感染力があるものの、水痘ほど感染力は強くない。 通常、水痘のような空気感染はないが、免疫不全患者での発症や、顔面等の覆うことができない部位に発症した場合は、空気感染対策が必要となる場合がある。病変部が適切に被覆してあれば接触感染を防げるため、登校(園)可能である。 ただし、保育所・幼稚園では、免疫のない幼児が帯状疱ほう疹しん患者に接触すると水痘に罹り患するため、全ての皮疹が痂皮化するまでは免疫のない幼児と接触しないこと。 また、水痘が重症化する免疫不全宿主(水痘ワクチン接種を受けておらず、白血病や免疫抑制剤で治療中の者)がいる場合には、感染予防に対する細心の注意が必要である。 |
| 第3種 | 手足口病 | 本人の全身状態が安定している場合は登校(園)可能。流行の阻止を目的とした登校(園)停止は有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない。手洗い(特に排便後、排泄せつ物の後始末後)の励行が重要。 |
| 第3種 | ヘルパンギーナ | 全身状態が安定している場合は登校(園)可能であるが、長期間、便からウイルスが排出されるので、手洗い(特に排便後、排泄せつ物の後始末後)の励行が重要 |
| 第3種 | A型肝炎 | 発病初期を過ぎれば感染力は急速に消失するので、肝機能が正常になった者については登校(園)可能である。 |
| 第3種 | B型肝炎 | 急性肝炎の急性期でない限り、登校(園)可能である。HBVキャリアの出席停止の必要はない。 ただし、血液や体液に触れる場合は手袋を着用する等、上記の標準予防策を守ることが大切である。その一方で、例えば非常に攻撃的でよくかみ付く、全身性の皮膚炎がある、出血性疾患がある等、血液媒介感染を引き起こすリスクが高い児童生徒等がHBVキャリアである場合には、主治医、施設責任者等が個別にそのリスクを評価して対応する必要がある。 |
| 第3種 | 伝染性膿痂疹(とびひ) | 出席停止の必要はないが、炎症症状の強い場合や、化膿のうした部位が広い場合は、傷に直接触らないように指導する。 |
| 第3種 | 伝染性軟属腫(水いぼ) | 出席停止の必要はない。 |
| 第3種 | アタマジラミ症 | 出席停止の必要はない。ただし、できるだけ早期に適切な治療をする必要がある。 |
| 第3種 | 疥癬 | 治療を始めれば出席停止の必要はない。ただし手をつなぐ等の遊戯・行為は避ける。角化型は感染力が強いため、治癒するまで外出は控える。 |
| 第3種 | 皮膚カンジダ症 | 出席停止の必要はない。乳児のオムツ交換時に、他の児と接触しないようにする。 |
| 第3種 | 皮膚白癬症 | 出席停止の必要はない。ただし、接触の多い格闘技の練習・試合等は、感染のおそれがなくなるまでは休ませる。 |
発熱外来と感染症の対象となる方へ
当院の発熱・感染症外来は、年齢を問わず診療を行っております。お子様と大人の方では、同じ発熱や感染症でも注意すべき点が異なる場合がございます。それぞれの専門性を生かした診療を提供します。
お子様(新生児~中学生)
発熱や咳、発疹などの症状があるお子様は、小児科医が丁寧に診察します。お子様特有の感染症(RSウイルス、手足口病など)も考慮し、全身の状態をきめ細かく拝見します。
大人の方(高校生以上)
発熱、喉の痛み、倦怠感といった症状がある方は、内科医が対応します。新型コロナウイルスやインフルエンザなどの迅速な診断・治療を行います。(※継続的な生活習慣病の管理は当外来の対象外となります)
発疹などを伴う場合
発熱に伴い、水ぶくれや発疹など皮膚に症状が出ている場合は、皮膚科と連携して診療にあたります。
当院の診療方針とご来院の皆様へのお願い
当院では、すべての患者様に公平で質の高い医療を提供するため、以下の方針で診療を行っております。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
ご予約と直接来院の優先順位とトリアージについて
当院は予約制を基本としておりますが、急な発熱や体調不良で直接ご来院される方もいらっしゃるかと存じます。
- ご予約の方を優先して診察いたしますが、直接来院された場合でも、症状の緊急度を判断する「トリアージ」を行います。
- 緊急性が高いと判断した場合は、予約の順番に関わらず、優先的に診察を行うことがございます。
- 限られた時間の中で最善の医療を提供するため、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
発熱外来と感染症の主な症状・疾患
全身の症状
- 発熱
- けいれん
- アナフィラキシーショック
- 熱中症
呼吸器・のどの症状
- 呼吸が苦しい・咳込み・ヒューヒュー
- 咽頭炎・喉頭炎・扁桃腺炎
お腹の症状
- 嘔気・嘔吐
- 腹痛
- 胃腸炎
皮膚の症状
- 蕁麻疹(じんましん)
- 湿疹
- 伝染性膿痂疹(とびひ)
- 蜂窩織炎
- 感染症(皮膚)
その他の症状
- 怪我
- やけど
- 誤飲・中毒
- 窒息
- 中耳炎
- 流行性角結膜炎(はやり目)
主な対象疾患
- インフルエンザ
- 新型コロナウィルス
- ウィルス性腸炎(ノロ、ロタ、アデノなど)
- RSウイルス
- ヒトメタニューモウイルス
- 溶連菌
- マイコプラズマ
- 手足口病・ヘルパンギーナ
- 咽頭結膜熱(プール熱)
- 水ぼうそう・帯状疱疹
- おたふくかぜ
- 百日咳
- 麻疹
- 風疹
- 伝染性紅斑(りんご病)
- 突発性発疹症
- 髄膜炎・脳炎