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夜尿症(おねしょ)外来

いつまでおねしょが続くのだろうか、起こした方がいいのか、このままで大丈夫なのか。

夜尿症(おねしょ)は、ご本人だけでなく、ご家族にとっても切実でデリケートなお悩みです。誰にでも相談できることではないからこそ、一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。

まず、一番にお伝えしたいこと。それは、夜尿症は本人のなまけやご家族の育て方のせいでは決してない、ということです。叱ったり、焦ったりする必要はまったくありません。体の成長やホルモンのバランスなどが関係する、治療で改善できる病気のひとつです。

当院では、小児科専門医が、お子様の気持ちとプライドを何よりも大切にしながら、ご家族と一緒に最適な解決策を探すパートナーとして伴走します。

対象となる方

  • 6歳以上で、夜尿にお困りのお子様

夜尿症とは?

一般的に、6歳を過ぎても月に数回以上、無意識に睡眠中におもらしをしてしまう状態を「夜尿症」と呼びます。小学生の約10%、つまりクラスに2〜3人は夜尿症のお子様がいる計算になり、決して珍しいことではありません。

主な原因は、以下の3つのタイプの組み合わせと考えられています。

  1. 夜間の尿量が多い(多尿型)
    睡眠中に尿量を少なくするホルモンの分泌が未熟なため。
  2. 膀胱にためられる尿量が少ない(膀胱型)
    体の成長に対して、膀胱の大きさがまだ追いついていないため。
  3. 睡眠が深く、尿意で起きられない(混合型/覚醒障害型)
    膀胱がいっぱいになっても、その情報が脳に伝わって目覚める、という回路が未熟なため。

当院の治療方針

夜尿症の治療は、焦らず、お子様が自信を持てるように進めていくことが何よりも大切です。当院では、まずはお話と思いをじっくり伺うことから始め、ご家庭での取り組みとクリニックでの治療を合わせて、最適なプランを考えていきます。

ご家庭でできること、一緒に始めませんか

治療の基本は、ご家庭での生活習慣の見直しです。

私たちは、「あせらない、おこらない、いそがせない」を合言葉に、お子様とご家族の取り組みを応援します。

1. 水分の摂り方に工夫を

体に必要な水分を我慢する必要はありません。大切なのは、飲むタイミングにメリハリをつけることです。朝ごはんや給食の時間はしっかり水分を摂り、逆に夕食の時はお味噌汁やスープなどがあれば、コップ1杯程度を目安に。そして、夕食後から寝るまでの時間は、コップ半分くらいまでにするなど、少しだけ意識してみましょう。

2. 寝る前の「トイレタイム」を合言葉に

「もう行ったから大丈夫」ではなく、「お布団に入る前の、最後のお約束」として、トイレに行く習慣をつけましょう。たとえ出なくても、便座に座るだけで大丈夫。これを毎日の儀式のようにすることで、膀胱を空にしてから眠るリズムが体に刻まれていきます。

3. 「冷え」から体を守りましょう

体が冷えると、大人でもトイレが近くなりますよね。お子様も同じで、体が冷えることで尿が作られやすくなります。特に下半身が冷えないように、冬場はもちろん、夏でもクーラーが効いた部屋では腹巻をしたり、長めのズボンを履いたりするなどの工夫が効果的です。

4. 「お通じ」は、おねしょ卒業の隠れた味方

実は、便秘と夜尿症は深く関係しています。腸に便がたまっていると、すぐ後ろにある膀胱が圧迫されてしまい、尿を十分に溜めることができなくなります。食物繊維の多い野菜や海藻を食事に取り入れたり、適度な運動を心がけたりして、毎日スッキリお通じがある状態を目指しましょう。

さらにステップアップするための治療

ご家庭での生活改善で効果が不十分な場合には、お子様のタイプに合わせて、より積極的な治療法をご提案します。

  • アラーム療法: 下着が濡れるとセンサーが反応してアラームが鳴る装置です。これを繰り返すことで、夜間に尿意で起きられるようにする、最も効果的な治療法の一つです。
  • 薬物療法: 夜間の尿量を減らすお薬や、膀胱の緊張をゆるめるお薬などを使います。お子様の安全を最優先に、効果と副作用を丁寧にご説明した上で処方します。

アレルギーと同様、夜尿症の治療も、時にご本人とご家族の根気が必要な場合があります。しかし、正しい知識と治療で、卒業できる日は必ず来ます。一人で悩まず、まずは少し相談してみようかな、という気持ちで、お気軽にご来院ください。